札幌市における外字環境の統一への取組

 札幌市の公立学校における外字の扱いは、平成24年度の校務支援システムを導入することに伴い、札幌市の住民票に使われる外字システムと文字コード(Unicord)レベルで互換性を保った外字システムを全公立学校に導入している。

 この試みは、「札幌学校ICT活用勉強会」の活動のポリシー、その2の精神に基づき「自分にできること」としてはじめられ、このことが「札幌学校ICT活用勉強会」発足のきっかけとなり、その後の活動の原動力となっている。

 本来、外字に対する取り組みは行政サイドが行うべき内容であるが、現時点での日本におけるICT機器の文字基盤整備状況は統一性に欠け、将来を見通した展望をもった取り組みは見出すことができない。そして、一地方自治体が取り組むには、あまりにも荷が重すぎる状況となっている。反面、一個人が、言葉は不適切かもしれないが、ゲリラ的に札幌市規模の公立学校(小学校204校、中学校99校、高等学校8校、特別支援学校4校 計315校)であれば外字の環境の統一を呼びかけ、教育委員会も含め各学校の協力を得ることは可能であり、現在それが住民票の外字システムと互換性をある程度保ちながら実現している。

 このことによって、札幌市の公立学校で稼働している『校務支援システム』内での異校種間や学校間、進路事務における生徒の氏名データの互換性が保たれている。

住民票外字システムの概要

 現在、札幌市公立学校に供給されている外字システムは、以下のような構成になっている。

<供給されている外字フォントファイル>

明朝体外字フォントファイル ← 札幌市住民票外字システムより供給を受けMS明朝にリンクする形で配布し組み込まれている。

ゴシック体外字フォントファイル ← 札幌市住民票外字システムとUnicordを共通に保ち、公立学校の在籍児童生徒に使われる漢字の中で外字として必要な漢字のみ登録し、MSゴシック体にリンクする形で配布し組み込まれている。

楷書体外字フォントファイル ← 札幌市住民票外字システムとUnicordを共通に保ち、公立学校の在籍児童生徒に使われる漢字の中で外字として必要な漢字のみ登録し、正楷書体PROにリンクする形で配布し組み込まれている。

 

<供給されている外字フォントのグリフについて>

※グリフとは・・・

 文字の骨組みとなる形を字体と呼びます。この字体に一定のスタイルでデザインを施したものを書体と呼びます。また、類似の概念として字形があります。字形はJISの定義によると、「字体を、手書き、印字、画面表示などによって実際に図形として表現したもの」となります。印刷やコンピュータ上で用いられる書体を、通常、フォントと呼びます。また、個々の字形をグリフ(Glyph)と呼びます。

 

明朝体外字フォントのグリフ ← 札幌市住民票外字システムのグリフをそのまま使用、著作は札幌市にあります。

ゴシック体外字フォント、楷書体外字フォントのグリフ ← Tフォントのグリフを許諾を受けて使用している。

※Tフォントとは・・・・ 

 東京大学 大学院情報学環・学際情報学府 坂村研究室が、2011-02-01に 第一期β版の公開を開始した(78,675字×3書体=236,025字形のフォント:Tフォント)フォントファイル。

<札幌市が公立学校に導入している校務用PCの文字環境>

 札幌市内の公立学校の教職員に配備されている校務用PCのOSは、現在はWindows7となってる。しかし、現行の校務支援システムが導入された時点でのOSは、WindowsXPのため、校務支援システムの文字環境は「JIS X 0208」を基本としている。

 一般にWindowsXPにおける文字環境はJISX 0208にJIS X 0212(補助漢字)を加えたものが標準となっている。